スウェーデン・ストックホルム大学との共同研究の成果をまとめた論文の2本目が、Population, Space and Placeにて出版されました。人口学分野の国際学術雑誌です。
Mariko Kanamori, Naoki Kondo, Sol Juarez, Agneta Cederström, Andrew Stickely, Mikael Rostila. (2021). Does increased migration affect the rural–urban divide in suicide? A register-based repeated cohort study in Sweden from 1991 to 2015. Population, Space and Place, e2503. https://doi.org/10.1002/psp.2503 (Open Access)
スウェーデンには海外から多くの移民を受け入れてきた歴史がありますが、近年では、中でも難民の占める割合が顕著です。多くの移民を受け入れるにあたり、移民が都市部に集中してしまわないように、移民を農村へ分散する政策がとられてきました。
こういった経緯を踏まえ、本研究は、移民の増加によって都市ー農村の自殺率の格差に影響を与えてきたかに着目しました。スウェーデン全国民を含むレジストリーデータを分析して、都市-農村の自殺率格差が、1990年ー2015年においてどのように変化してきたかを見ました。
過去25年間、都市より農村において男性自殺率が高い傾向にありました。都市・農村ともに、自殺率は徐々に低下傾向にありましたが、小さい農村コミュニティに住む移民では、自殺率の高まりも見られました。難民が多く含まれる、非ヨーロッパ出身者において顕著でした。
このような都市と農村の自殺率の違いに、地域要因がどのように説明しうるかを検討したところ、
農村で自殺率が高い背景には、市町村レベルにおける失業率や、市町村よりさらに小さい地区単位における、低所得者の割合などが関与していることが示唆されました。
また近いうちに、日本語解説記事を作成します。
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