獣医学部卒業研究が出版されました

アルパカの赤血球が楕円形なのはなぜなのか?
獣医学部のときの卒業研究が、さらに充実した内容になって、このたび出版されました。

Yuqi Chen, Kosuke Miyazono, Yayoi Otsuka, Mariko Kanamori, Aozora Yamashita, Nobuto Arashiki, Takehisa Matsumoto, Kensuke Takada, Kota Sato, Narla Mohandas, Mutsumi Inaba. (2023). Membrane skeleton hyperstability due to a novel alternatively spliced 4.1R can account for ellipsoidal camelid red cells with decreased deformability. Journal of Biological Chemistry, Volume 0, Issue 0, 102877. (Open Access) https://doi.org/10.1016/j.jbc.2023.102877

ラクダやアルパカは厳しい環境で生きられる動物で、一度に水をたくさん飲むことができますが、それもスーパー赤血球のおかげなのかもしれません。

赤血球の膜タンパク質「4.1R」は、膜の骨格のつなぎ目部分をボンドのようにつないでいるタンパク質です。

ヒトの遺伝性楕円赤血球症の方の赤血球は壊れやすく、そこには4.1Rの欠損・変異が関与していることがわかっています。

一方、ラクダ科の赤血球はもともと楕円形ですが、ヒトとは逆に浸透圧の変化にとても強くて、それがなぜなのかあまりわかっていませんでした。その秘密は、やはり4.1Rの構造の特殊性にありそうです。

分子生物学の研究室で、2年間みっちり実験をした思い出がよみがえり、とても感慨深いです。追加実験をたくさん重ねて論文をまとめてくださった共著者の皆さんに感謝です。そして採血させてもらったえこりん村のアルパカに感謝です。

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